日本の公文書を海外で使いたい!
「アポスティーユ」
日本で当たり前に通用し、当たり前に証明の道具として使用される公文書。日本国外で仕事をしていたり、生活をしていると、ときとして日本の公文書の提出を求められることがあります。
例えば、
「戸籍謄本を英訳して、それが正しいものと証明を付した上で持って来てください」
「商業登記記録の公式翻訳したものを持って来てください」
それに上記の場合で、このように言われることがあります。
「本人による翻訳ではなく、必ず登録翻訳者によるものにしてください」
どういう意味でしょうか?これらは多くの場合、「日本の公文書にアポスティーユを付してきてください」という意味なのです。
では、アポスティーユとはどういうことをいうのでしょうか。日本で当たり前のように使われている公文書(戸籍謄本であったり登記記録であったり)は日本国内では事実証明の書面として非常に証拠力の強い文書です。しかし、それは日本国内でのみ通用することであり、海外では戸籍制度であったり登記制度のない国がむしろ当たり前であったりします。
日本人が海外で生活をしていく上で、現地の行政機関などに対し、自らの事実について書面をもって証明をする機会に出くわします。そのための手段として、日本で発行される公文書を使用することになるのですが、上記で述べたように、該当する種類の公文書がその国で扱われていなければ、その公文書が作成される背景の制度も分からない。ひいては公文書が果たして本当に公文書であるのかさえも現地の行政機関は疑う必要が出てきます。
そのため、日本の公文書の中身には何が書かれているのかを明示する必要があります。また、日本およびアジア数国でしか馴染みのない印鑑についても証明する必要があります。そしてその印鑑(以下、公印とよぶ)を押しているのは誰なのか、そしてその者は本当に公の人間なのか、それを誰が証明するのか、最終的には、その公文書が公文書であると誰がその信用を担保するのか、という話になってきます。
上記のことについて、証明をし、認証を経て、日本の公文書を外国でも通用する書面にしていくことをアポスティーユといいます。ただし、正式にアポスティーユ(Apostille)とは上記の流れをハーグ条約加盟国同士で簡素化したものであり、日本の相手国が非加盟国であれば、上記流れをひとつひとつ証明していく必要があります。
そして、この認証作業(公証人役場、外務省、領事館が関わります)というのは当該書面を必要とする人からすれば、海外から直接日本の外務省などに頼みたいのが通常でしょう。しかし、海外からの認証申請は受け付けられておらず、必ず日本国内の代理人より申請をする必要があります。
アポスティーユは、実は公文書だけでなく、私文書にも付すことができますがアポスティーユを付す代表的な文書として以下のものがあります。
パスポート、戸籍謄本、住民票、外国人登録原票記載事項証明書、婚姻届受理証明書、商業登記記録、不動産登記記録、財務諸表、委任状、銀行残高証明、公共料金請求書、死亡診断書、無犯罪証明書など
そして上記文書が必要となる場面は
個人に多いケースとしては、海外の銀行口座開設、留学、移住、海外でのビザ取得、海外での婚姻手続、日本での婚姻を外国で届出、外国が関係する相続手続、海外での会社設立など
法人に多いケースとしては、海外の銀行口座開設、海外転勤、海外に支店・工場などを設立、外国での特許出願など
以上のようになります。
ただし、上記のような場合だからといって必ずしもアポスティーユが必要というものではなく、あくまで提出先機関の判断になります。提出先機関が該当する書面についてアポスティーユを付す必要があるものとして扱っているのかどうか、または例外的な認証手続きを必要とするものなのか(ままある)、しっかりと確認することを忘れないでください。
また、手続きの流れとして例外もままあり、一様にはいえませんが、日本公文書の認証手続きは以下のようになります。
1、提出相手国にいる本人から日本の代理人へ依頼、または本人の帰国
↓
2、公文書の取得(または私文書の作成)
↓
※文書の公証(私文書の場合)
↓
3、文書の翻訳(英文翻訳で足りる場合が多いが、専門用語に対応する必要あり)
↓
4、公証人役場での翻訳証明
↓
5、公証人の署名・押印
↓
6、外務省にて2および5で押されている公印の証明※
↓
7、提出相手国大使館・領事館で領事認証※
↓
8、提出相手国の受取人へ送付
以上の流れが原則です。
提出相手国がハーグ条約加盟国であればアポスティーユ(Apostille)を付すことができます。それは上のチャート7番の省略を意味します。(例外あり)
さらに、東京および神奈川の公証人役場を利用する場合は6番の省略も可能です。
つまり、手続きを東京や神奈川で行なう場合、4、5の公証人役場での手続きのみでアポスティーユ(Apostille)を得ることができます。ただし、公証人にも得意不得意の分野が各々にあり、アポスティーユ(Apostille)手続きに慣れている公証人を選ぶことも、重要な文書を扱う手続きですから、自ずと大切なことになってきます。
なお、上チャートの4、5、7において所定の手数料を支払う必要があります。
それぞれの環境に依存しますが、安く迅速に、ということでしたら東京都や神奈川県でのアポスティーユ(Apostille)手続きをお勧めいたします。
料金
アポスティーユ(Apostille)・公印確認 料金表 |
|
目的 | 料金 |
・アポスティーユ(公証人役場手数料込) 翻訳証明+公印認証+領事認証 |
56.500yen |
・アポスティーユ非該当(公証人役場手数料込) 翻訳証明+公印証明+領事認証 |
36.500yen +領事認証手数料 |
・日本国外務省での公印確認 |
10.000yen |
・翻訳料、郵送費 |
別途 |
ビザ(VISA)のしゅるい
短期ビザ(Short term stay VISA)
観光ビザと呼ばれるものです。日本に90日以内の滞在で、日本の会社で仕事をしない場合はこのビザを申請します。目的に企業視察や講習、会合も含まれます。通常の海外出張もこれです。
就労ビザ(Working VISA)
就労ビザとは日本で働くことを目的として取得することができるビザの総称です。
学生ビザ(Student VISA)
日本の学校に留学し、勉強するためのビザです。日本でアルバイトをするためには、別に資格外活動許可をとらなければなりません。
文化活動ビザ(Cultural Activities VISA)
日本で日本の文化について研究したり、また学問やアート活動をするためのビザです。ただし、それにもとづく収入があってはいけません。
研修ビザ(Trainee VISA)
日本の機関の中で、研修生として研修をするときに必要となるビザです。
特定活動ビザ(Designated Activities VISA)
外国の父や母と一緒に日本で生活したり、メイドさんを日本に連れてきたり、国際文化交流やインターンシップ、ワーキングホリデーなど、特別な理由で日本に滞在するためのビザです。
家族ビザ(Dependent VISA)
日本に滞在している外国人が、夫や妻、子供の世話をするため、一緒に日本で生活をするときに必要となるビザです。
結婚(Spouse)・子供(Child)ビザ(VISA)
日本人と結婚した外国人やその子供(孫まで)、日本に永住している外国人と結婚した外国人やその子供が日本に在留するために必要となるビザです。
つける仕事に制限はありません。
永住ビザ(Permanent Residence VISA)
日本に長く滞在し、生活のほとんどが日本にある善良な外国人がもらえるビザです。
つける仕事に制限はありません。
定住ビザ(Long term Residence VISA)
法務大臣が外国人について特別な理由から日本に住むことを認めるビザで、人道上、その他特別な理由が必要です。