2012年7月9日 新たな在留管理制度
2009年7月15日、入管法の改正が公布されました。建前上、以前よりも外国人の方が日本で活動しやすいようになりました。
昨今の入国管理局の思いとして、効果的な外国人の受け入れにより日本を活性化させたい、それに併せて不法滞在者を減らしたいというものがあります。
実は現在の不法滞在者で最も多いケースというのが日本で勉強する外国人留学生が日本での就職を希望しているにもかかわらず、就職できずにそのまま不法滞在となってしまうものです。それはそうです。日本人でもまともに就職できない時勢ですから。
とはいえなぜ不法滞在となってしまうのでしょうか。日本で勉強する外国人の多くは四年生の大学生よりも専門学校生が多くいます。その専門学校生というのは、これまでの運用では、就職できないからといって一度日本を出国してしまうと、就職のために日本に滞在することができなくなっていました。だから、不法でも日本に在留し続けていたのです。また、この状態から逃れるため偽装結婚という異なる不法行為も行なわれていました。
以上のケースについても、今回の入管法の改正に併せて、平成23年7月をもって運用が変更されました。専門学校を卒業した人でも、一度自分の国に帰った後、日本での就職を理由に、もう一度日本に在留することができるようになったのです。これは特筆すべきことだと思います。
今入管法改正について、既に施行されたものを除き、今後施行されるもので一般的に在留する外国の方にとってポイントとなる部分を4つピックアップいたします。
1、外国人登録制度の廃止。住民基本台帳法による在留カード制度へ移行。
2、在留資格の最長3年を5年まで伸長。
3、みなし再入国制度の導入。
4、在留カード記載事項等に変更があった場合の届出義務と義務違反への罰則。
以上、4つはいずれも2012年7月9日に施行されました。
1、在留カード
外国人登録証明書の廃止
主な例として、日本に入国して90日以内に出国される方以外の外国人は外国人登録が必要でした。そしてその登録をすると外国人登録証明書(がいこくじんとうろくしょうめいが発行されました。それが2012年7月から廃止され、代わりに在留カードがもらえます。
その在留カードが上の画像のもので、写真をはりつけたら、日本の運転免許証みたいな格好になります。中にICtipが入っていて、そこに様々な情報が入ります。
この在留カードもいつも手元にもっている必要があります。在留カードは2012年の7月より後に入国管理局へ交付申請すれば、すぐにもらえますが、制度が変更してから3年間は外国人登録証明書を在留カードの代わりに使えます。
制度の変更後、日本に中長期滞在する目的で新しく入国する外国人は、空港など入国の審査をするところで在留カードがもらえます。
また、特別永住者には特別永住者証明書という在留カードと同(おな)じようなカードがもらえます。左の画像です。
在留カードは住む場所を決めたり、変更したりしたときは、14日以内に、住む場所の役所にいって届出をしなければなりません。
それ以外に名前、性別、国籍や在留資格に変更があったときは入国管理局に届出をしなければなりません。
また、失くしたときは14日以内に入国管理局 に届出(とどけで)をしなければなりません。
在留期間の更新をするときは、期間終わる2ヶ月前から期間の終わる日までの間に入国管理局に届出をしなければなりません。
また、在留カードについて不正行為など悪いことは絶対にしてはなりません。罰金や強制退去になってしまいます。
2、在留できる期間が延びる
3年が5年に延びる
これまで在留期間の最も長いものが3年であった在留資格(ビザ)については、もっと長い5年の在留期間がプラスされます。
例えば、日本人と結婚して「日本人の配偶者等」の在留資格(ビザ)で在留している方は、現在では1年か3年の在留資格を与えられますが、2012年7月からはそこに5年の期間がプラスされます。
ただし、5年の期間がもらえる条件はとても厳しいもので、日本に長く滞在している経験があればもらえるようになるものではありません。
3、再入国手続きがいらなくなる?
みなし再入国許可制度
有効な旅券と在留カードを持っていれば、日本を出国しても1年以内にまた日本に入国する場合、再入国許可の手続きをしなくても、再入国することができるようになります。
ただし、1年以内に日本に戻ってくることが条件なので、それ以上の期間、日本を離れる場合はこれまでどおり再入国許可が必要になります。しかし、再入国許可の最も長い期間が3年から5年に延びます。
なお、まだ手元に在留カードが無い場合、みなし再入国許可制度は利用できないのでしょうか?その疑問について、下に整理しました。
・Passport+在留カード=みなし再入国OK
・Passport+外国人登録証=みなし再入国OK
・Passportに後日在留カードを交付する旨の記載あり=みなし再入国OK
・これら以外はみなし再入国はダメ
4、新しい義務と罰則
在留カード記載事項などが変わる場合の届出義務と罰則
在留カードに代表される新しい在留管理制度導入にあわせて、新しい届出義務と、その義務違反に対する罰則の規定が定められました。
届出を必要とする場合とはどのようなときでしょうか。
1.就労ビザの就労先など所属機関に変更があったとき
→所属機関の名称が変わったり、所在地が変更したり、消滅したとき。または、所属機関を辞めたり、移籍したとき。
2.在留カード記載事項に変更があったとき
→名前、生年月日、性別、国籍・地域に変更があったとき。
3.配偶者関係の消滅
→配偶者との離婚、死別があったとき。
以上に該当する場合は、その変更があったときから14日以内に地方入国管理局まで届出なければなりません。この義務を怠ると、20万円以下の罰金に処せられます。
この届出に必要なものは、「届出書、写真、変更内容を立証する資料」となります。
また、引越しや転勤などでご自身の住んでいる住所地に変更があった場合は、14日以内に新住所地の市区町村役場に届出なければなりません。この義務を正当な理由無く、約90日を超えて怠ると、ビザが取り消される場合がございます。
この届出の際に、「在留カード」を忘れないで持っていくようにしてください。
なお、配偶者関係の消滅についてですが、配偶者の在留資格をもって在留する方(上記届出義務は家族滞在者等にもあります)が、離婚や死別、別居などをした後、正当な理由無く、配偶者としての活動を6ヶ月以上行なわない場合も、ビザが取り消される場合がございます。
5、住所や勤務先変更などの届出先
外国人登録証から在留カードへの変更で住所や勤務先などが変わった場合の届出先も変わります。
外国人登録証から在留カードへの変更で、住所、名前、勤務先、性別、国籍、地域といったカードに書いてある情報が変わった場合の届出先が変わります。
2012年7月8日までは外国人登録証に書かれた情報が変わった場合、住んでいる市区町村役場の外国人登録課に、変更から14日以内に、届出ることになっていました。
2012年7月9日以降、在留カードに代表される新しい入管法の元では、住所の変更があった場合は、これまでと同じく市区町村役場に、変更(から14日以内に、届出をします。
それ以外の情報である、名前、勤務先、性別、国籍、地域の変更があった場合は、地方入国管理局に、変更から14日以内に、直接届出ることになります。
ビザ(VISA)のしゅるい
短期ビザ(Short term stay VISA)
観光ビザと呼ばれるものです。日本に90日以内の滞在で、日本の会社で仕事をしない場合はこのビザを申請します。目的に企業視察や講習、会合も含まれます。通常の海外出張もこれです。
就労ビザ(Working VISA)
就労ビザとは日本で働くことを目的として取得することができるビザの総称です。
学生ビザ(Student VISA)
日本の学校に留学し、勉強するためのビザです。日本でアルバイトをするためには、別に資格外活動許可をとらなければなりません。
文化活動ビザ(Cultural Activities VISA)
日本で日本の文化について研究したり、また学問やアート活動をするためのビザです。ただし、それにもとづく収入があってはいけません。
研修ビザ(Trainee VISA)
日本の機関の中で、研修生として研修をするときに必要となるビザです。
特定活動ビザ(Designated Activities VISA)
外国の父や母と一緒に日本で生活したり、メイドさんを日本に連れてきたり、国際文化交流やインターンシップ、ワーキングホリデーなど、特別な理由で日本に滞在するためのビザです。
家族ビザ(Dependent VISA)
日本に滞在している外国人が、夫や妻、子供の世話をするため、一緒に日本で生活をするときに必要となるビザです。
結婚(Spouse)・子供(Child)ビザ(VISA)
日本人と結婚した外国人やその子供(孫まで)、日本に永住している外国人と結婚した外国人やその子供が日本に在留するために必要となるビザです。
つける仕事に制限はありません。
永住ビザ(Permanent Residence VISA)
日本に長く滞在し、生活のほとんどが日本にある善良な外国人がもらえるビザです。
つける仕事に制限はありません。
定住ビザ(Long term Residence VISA)
法務大臣が外国人について特別な理由から日本に住むことを認めるビザで、人道上、その他特別な理由が必要です。